家族にてまり(犬)を迎えたこと
子どもの頃、実家で犬を飼っていた。
”段ボールに入れられた数匹の捨て犬が神社にいる”
友達から聞いて興味本位で見に行き、こども心に何とかしてあげたい気持ちで友達と分担して１匹自宅に連れて帰った。
”いきなり連れて帰ってきた犬を見て、お母さんに怒られるだろうな”
そう思いながら犬を見せたとき、やっぱり母さんは驚いていたけど
「あんたが責任もって、面倒みるんだよ。約束だからね」
そう言って、父さんにもお願いしてくれて、犬を飼うことになった。
その犬の名前はダン。好きな漫画『スラムダンク』から命名したものだ。
ダンと暮らした7年間、ペットを飼うことの大変さを知った。
”ダンは僕に拾われて幸せだっただろうか”
振り返ると、大抵自分ごとを優先していたし、世話をさぼることも多々あった。最期に元気がなかったときも、病院に連れて行ってやることもできなかった。そして、犬小屋で亡くなっていたダンを見るのが悲しくて、直視できず、父さんに最期の世話をしてもらったことを覚えている。
だから、あらゆる機会にお店で売られている犬を観ても、また飼いたいとは思えなかった。
いつか来る別れのときが、とても辛いことがわかっているから。
ぼくの妻は動物が大好きで、いつかペットをお迎えすることが夢のひとつ。
以前からペットをお迎えしたいとお願いされては、僕はそれを断っていた。共働きだとかわいそうだから、と。
転機となったのは、妻の誕生日。
大きな理由があったわけではないけれど、お店のガラスケースの犬を愛おしそうに観る妻と、妻の一生の夢と幸せを想ったときに、何となくだけど、一つの命ともう一回暮らしてみても良いのかもしれないと思った。
「いま気になってる犬、まだお店にいれば考えてみる？」
そう言ったとき、妻は目を丸くしていたけど、じわじわと犬と暮らせる喜びが湧いてきているみたいだった。
そのときに出会った”てまり”。耳だけ薄色のマルチーズ×チワワ。
活発で人懐っこくて、小さくて暖かい。
家に連れて帰った日は、少し不安そうに辺りをウロウロしていたけど、それを嬉しそうに、不思議そうに眺める妻もてまり同様に落ち着きがない。
”飼う”というよりは”お迎えする”という表現が適切だと思うのは、てまりを家族として迎える覚悟を自分なりにすることができたからだと思う。
毎日の生活リズムや日々の過ごし方が変わり、本当に上手く子犬を育てていけるか、波のように不安が大きくなるときもあるけれど、ご縁で繋がれた新しい命と、これからを一緒に楽しんでいけたらと思う。
これから長い間よろしくね、てまりちゃん！
※2023.6.18の出来事を振り返って記録
