「運転者」を読んで
<著者> 喜多川 泰
「何が起こるかわからないが、起こることを楽しんでみよう」
全てが自分の思い通りではない。
でも「自分の人生にとって何がプラス、何がマイナスということはその場ではわからない」
それは、希望にも絶望にもなるけれど、思いがけない点と点が繋がり線になることがある。点を打つことを“役に立たない”、“意味がない”と、自己完結してしまうことがあるけれど、思いもよらないところで繋がる偶然が起こりうる限り、どんなことも、努力も決して無駄ではない。
「どんなことが起こっても、それを自分の人生に必要だった経験にしていくことそれが「生きる」ということ」
自分の在り方次第で、今日を上機嫌で生きていける。
「プラス思考で、誰よりも笑おう」
主人公の上司の言葉、とても良いスローガンだと思う。
“プラス思考とは、起こったことを全て肯定的に受け入れ続けていくことではない”という言及にも感銘を受けた。
自分の人生にとって必要だとは思いたくない災難に出くわすことだってある。時間がたっても忘れられず、時々思い出して、心が痛むことがある。
でも、生きている中で、新しい希望が湧くことも、小さな喜びを感じることもあり、今までのことを全部ひっくるめて、生まれたときより1°だけ与えてもらった命をよくできたと思えたら、それで充分なのだということ。それがプラス思考だということ。
それは、今の自分がどれだけ恵まれているかを改めて思い直すということでもある。
ほんの少し前の時代、明日を夢見て戦死した人々がいた。さらにその昔、命を懸けて日本を良くしようとした人々がいた。さらにその昔、生きるということが当たり前ではない時代があった。そうした連綿と続いてきた歴史、数々の犠牲があり、今の平和がある。 そのことをちゃんと胸に刻むことができたら、きっと今日を、自分の人生を楽しむことができると思えた。